2006年11月03日 - Claria社(旧称Gator)の展望 - GAINの切り捨てはスパイウェアから「合法的ビジネス」へのシフトか
Claria社は2003年10月より社名をGatorより改め、GAINなるアドウェア(スパイウェアか?)群を配布していた企業である。
「していた」と過去形で記載するのは、Claria社は2006年10月より、GAINをバンドルするソフトウェアの配布を停止しているからだ。一例としてPrecision Timeなどなど。
幾つかのGAIN入りソフトウェアはもう既にダウンロードができないものの、どこかのダウンロードサイトではまだ残っているのだろうか。ウェブルート社による検出数レポートではまだまだ上位らしい。
Claria社はかつて大変ユニークな方法で、自身を悪者扱いする対策側メーカーに対し、「改善」を強要した。
そう、つまりは訴訟の場に持ち出し、自社のGAINを検出対象とするなと脅したのだ。
訴訟の結果、PC Pitstopは和解に至った。和解と言っても海外の裁判と日本国内の裁判とは多少ニュアンスが異なる。これはPC Pitstop側の事実上の敗北であり、Gator社製品をスパイウェアなりアドウェアとして検出するのを妨げられたのだ。
さすがに多くの対策側企業側にとっては、ギョッとさせられる事件であったのだろう。
以後一部の対策側企業は「慎重な姿勢」をとるようになり、場合によっては多くのエンドユーザーが拒否感を示すソフトウェアを検出対象より除くなどの過剰反応を示した。
蛇足として。
トレンドマイクロ社とJWord社間のやりとりは実情はよくわからない部分があるのだが。今より2年前の段階ではかなりホットな話題であったものの、今では誰も覚えていない。
(ウイルスバスターによるJWORDのCnsMin.dll誤検出(Semplice))
Symantec社は2005年、「HotBarを検出するための権利」なるものを確認するために、わざわざ訴訟を起こした。
その辺はAnti-Spyware Coalitionとスパイウェアの定義(Semplice)にてダラダラと書いた。
何を勘違いしたのかわからないが、スパイウェア対策側に悪質業者が潜り込んで非難された事例がある。
COAST(Consortium of Anti-Spyware Technology vendors)なるスパイウェア対策の業界団体があったのだが、ここに何故か180solutionsなる悪質企業がメンバーに加わった。言うなれば「地元の防犯協会に暴力団メンバーが加入した」みたいな事例だ。
反発した対策側メーカーらが離反してCOASTは消失した。当然だよね。
スパイウェア対策業界団体COASTと180solutions(Semplice)を読み返すと、今でも理解できませんね。
この年の初め頃であっても、幾つかの罠サイト(閲覧した消費者のパソコンにInternet Explorerの脆弱性を突いて、マルウェアを強制インストールするサイト)より180 solutions関連マルウェアが強制インストールされる事例を直接扱った記憶がある。時期を考えると彼らは消費者への攻撃と並行し、スパイウェア対策業界団体に潜り込んだのは明らかだ。それはさすがにおかしいだろう。
180solutionsの狙いは、自分らの裏ビジネスを正当化する目的であったのは間違いない。
その後にASCによるスパイウェアの定義が議論されたのは、このようなスパイウェア配布企業側による訴訟リスクを回避する目的での、関連業界間での「共通見解となる定義の設定」が目的であったのだ。
だがASCによるスパイウェアの定義は、失敗だったのではなかろうか。
結果として一部の対策側メーカーが「スパウェアではないものまでスパイウェアと呼び、消費者の不安感を扇情的に煽る」のを肯定してしまった。
(ASC(Anti-Spyware Coalitionm)のスパイウェア等の定義(Semplice))
GAIN入りソフトウェアは使用許諾説明書に情報収集行為を掲載していたため、GAINがスパウェアではないとおっしゃる方も存在する。
自分は「あぁそうですか」と冷ややかな目で、彼らを眺めている。
「やたらと冗長でわかりづらいEULA(使用許諾説明書)」によりGAINがバンドルされ個人情報が抜かれるとの説明が消費者にわかりづらい形での説明であったとの点は、多くの非難を得ている。もしも今時にこのような「わかりづらく必要以上なEULAで、消費者へリスクを伝えるのを妨げた」ならば、消費者団体なりFTCは黙って見過ごさないだろう。
「英語の使用許諾説明書は日本人にわかりづらいのは当然だ」、ですか?
英語で運営されている多くのフォーラムにて、「どこにそんなの書いているんだぁ!」との投稿を自分は何件も見かけたし、英語圏の方でもこの手のわかりづらいEULAは問題とされている。
「有用な無償ソフトウェアには代償がつきもの」ですか?
ならばそれに伴う説明を、十分にするべきですよ。
あと、代償(スパイウェアやアドウェアの導入)が求められるのであれば、「無料ソフトウェア」であったとしても「無償ソフトウェア」ではない。
(freeを無料と訳すべきか、無償と解釈するかの論点は残りますが)
業者さんを正当化するためにもう一つ考えられる横槍としては、「個人を具体的に特定できないからスパイウェアではない」との詭弁だろうか。
これについてはSemplice中にて何度もネタにしたので、この場では掲載しないでおく。
自分の目には、一部のスパイウェア配布業者や必要以上に個人情報を収集していると非難されている広告業者などは、どうもよくわからない存在なのだ。
とりあえずは「近づきたくない存在」であるのは間違いはないのだが。
忘れかけていたのだが、タイトルに記載したClaria社である。
いかがわしい企業らは裏ビジネス扱いされるような消費者より忌まれる企業活動より抜け出し、合法的なビジネスにシフトするのではないかと。
わかりやすく書くと、暴力団の企業舎弟が運営する怪しい会社が、「普通の企業」を装って活動しようと試みるようなものだろうか。
(合法的と言っても、法律の網をくぐるとか、法律スレスレとか色々ありますが)
(付記すると日本国内の法律は、マーケティング目的の情報収集のためにクライアントのパソコンに「情報収集ソフトウェア」を導入させるのを制限していないような気がする)
Claria社はGAINネットワークにより収集した消費者のネット上での挙動を、マーケティング情報としてどこかの企業に販売し、相応の利益を得ていたのだろう。
GAINネットワークの次は、何なんだろうか?どうも海外サイトを漁っても十分な内容の情報が集まらず、よくわからないのだが。
先日大変興味深い、と言うより大変不気味な出来事があったので、別コンテンツとして掲載したのだが。折角なのでこの場で紹介する。
JWordとNETPIA(ネッピア)に興味を持つClaria(旧称Gator)(2006年11月2日)(Lucablog)
Claria社は何故に、ネッピアとJWordの日本ではかなり評判が悪い2つのサービス関連のリサーチを行っているのだろうか?
。。。。。。何か不気味な蠢動を感じたのだ。
(もちろん企業活動の上でのリサーチではなく、従業員が暇つぶし目的でGoogle検索を行った可能性もあるのだが)
タイトルに「合法的ビジネス」と記載したが、現時点でのClaria社の活動が非合法かつ違法行為ばかりであるとの意味ではない。
「していた」と過去形で記載するのは、Claria社は2006年10月より、GAINをバンドルするソフトウェアの配布を停止しているからだ。一例としてPrecision Timeなどなど。
Claria Corporation is no longer supporting GAIN-Supported software.
Claria Corporation, which formerly distributed GAIN software, has shut down the GAIN Network.
This means that Claria stopped sending GAIN pop-up and other advertisements to your computer via the GAIN Network, and no longer collects anonymous information from your computer via the GAIN Network about your Web surfing and computer use.
(以下和訳)
Claria株式会社はもはやGAINをサポート(配布)するソフトウェアをサポートしていない。
以前GAINソフトウェアを配布していたClaria株式会社は、GAINネットワークをシャットダウンした。
これはClariaがGAINネットワークを経由しあなたのコンピュータにGAIN pop-upとそのほかの広告を送るのを停止し、もはやGAINネットワーク経由であなたのコンピュータからWebサーフィンとコンピュータの利用状況の匿名の情報を収集しないと意味する。
Important Information About GAIN and GAIN-Supported Software(GAINとGAINサポートソフトウェアに関する重要なお知らせ(Claria)
幾つかのGAIN入りソフトウェアはもう既にダウンロードができないものの、どこかのダウンロードサイトではまだ残っているのだろうか。ウェブルート社による検出数レポートではまだまだ上位らしい。
アドウェアでは、1位「EasySearchBar」、2位「GAIN」、3位「Locators Toolbar」が先月に続き上位だった。
新たな偽セキュリティソフトの日本語版がランクイン〜ウェブルート(2006年11月1日)(INTERNET Watch)
Gator(現Claria)とスパイウェア対策ソフトウェアの関係
Claria社はかつて大変ユニークな方法で、自身を悪者扱いする対策側メーカーに対し、「改善」を強要した。
そう、つまりは訴訟の場に持ち出し、自社のGAINを検出対象とするなと脅したのだ。
過去には、Claria(旧Gator)がスパイウェア対策ソフトを提供するPC Pitstopを訴えたことがある。Clariaはこの時、PC Pitstopの行為が取引物誹毀(きひ)、虚偽広告、不当な干渉にあたると主張した。Clariaは、主に無料ソフトにバンドルする形で、ポップアップ広告ソフトウェアをユーザーに配布する。
MS、スパイウェア対策法案の修正を要請:「削除ツールの提供者を保護する条項を」(2005年5月25日)(CNET Japan)
訴訟の結果、PC Pitstopは和解に至った。和解と言っても海外の裁判と日本国内の裁判とは多少ニュアンスが異なる。これはPC Pitstop側の事実上の敗北であり、Gator社製品をスパイウェアなりアドウェアとして検出するのを妨げられたのだ。
A Gator executive said the suit, filed in U.S. District Court for the Northern District of California, was part of a larger strategy to educate spyware-removers about the company's software--and to put an end to the practice of calling it "spyware."
If we find anyone publicly calling us spyware, we correct it and take action if necessary, said Scott Eagle, Gator's senior vice president of marketing.
(和訳)
Gatorの経営幹部はカリフォルニア北地区の連邦裁判所に提出された訴訟は、企業のソフトウェアに関してスパイウェア除去ソフト企業を教育し、「スパイウァエ」と呼ばせない試みのための大いなる戦略の一部であったと語った。
「もし我々を公の場でスパイウェアと呼ぶ誰かを見つけたならば、我々は修正し必要であれば行動する」とGatorのマーケティング担当上級副社長は語る。
See you later, anti-Gators?(ZD Net)(2003年10月22日)
訴訟リスクと戦う対策側メーカーと業界団体
さすがに多くの対策側企業側にとっては、ギョッとさせられる事件であったのだろう。
以後一部の対策側企業は「慎重な姿勢」をとるようになり、場合によっては多くのエンドユーザーが拒否感を示すソフトウェアを検出対象より除くなどの過剰反応を示した。
蛇足として。
トレンドマイクロ社とJWord社間のやりとりは実情はよくわからない部分があるのだが。今より2年前の段階ではかなりホットな話題であったものの、今では誰も覚えていない。
(ウイルスバスターによるJWORDのCnsMin.dll誤検出(Semplice))
Symantec社は2005年、「HotBarを検出するための権利」なるものを確認するために、わざわざ訴訟を起こした。
その辺はAnti-Spyware Coalitionとスパイウェアの定義(Semplice)にてダラダラと書いた。
何を勘違いしたのかわからないが、スパイウェア対策側に悪質業者が潜り込んで非難された事例がある。
COAST(Consortium of Anti-Spyware Technology vendors)なるスパイウェア対策の業界団体があったのだが、ここに何故か180solutionsなる悪質企業がメンバーに加わった。言うなれば「地元の防犯協会に暴力団メンバーが加入した」みたいな事例だ。
反発した対策側メーカーらが離反してCOASTは消失した。当然だよね。
スパイウェア対策業界団体COASTと180solutions(Semplice)を読み返すと、今でも理解できませんね。
この年の初め頃であっても、幾つかの罠サイト(閲覧した消費者のパソコンにInternet Explorerの脆弱性を突いて、マルウェアを強制インストールするサイト)より180 solutions関連マルウェアが強制インストールされる事例を直接扱った記憶がある。時期を考えると彼らは消費者への攻撃と並行し、スパイウェア対策業界団体に潜り込んだのは明らかだ。それはさすがにおかしいだろう。
180solutionsの狙いは、自分らの裏ビジネスを正当化する目的であったのは間違いない。
その後にASCによるスパイウェアの定義が議論されたのは、このようなスパイウェア配布企業側による訴訟リスクを回避する目的での、関連業界間での「共通見解となる定義の設定」が目的であったのだ。
だがASCによるスパイウェアの定義は、失敗だったのではなかろうか。
結果として一部の対策側メーカーが「スパウェアではないものまでスパイウェアと呼び、消費者の不安感を扇情的に煽る」のを肯定してしまった。
(ASC(Anti-Spyware Coalitionm)のスパイウェア等の定義(Semplice))
スパウェア配布者と擁護者の言い訳
GAIN入りソフトウェアは使用許諾説明書に情報収集行為を掲載していたため、GAINがスパウェアではないとおっしゃる方も存在する。
自分は「あぁそうですか」と冷ややかな目で、彼らを眺めている。
「やたらと冗長でわかりづらいEULA(使用許諾説明書)」によりGAINがバンドルされ個人情報が抜かれるとの説明が消費者にわかりづらい形での説明であったとの点は、多くの非難を得ている。もしも今時にこのような「わかりづらく必要以上なEULAで、消費者へリスクを伝えるのを妨げた」ならば、消費者団体なりFTCは黙って見過ごさないだろう。
「英語の使用許諾説明書は日本人にわかりづらいのは当然だ」、ですか?
英語で運営されている多くのフォーラムにて、「どこにそんなの書いているんだぁ!」との投稿を自分は何件も見かけたし、英語圏の方でもこの手のわかりづらいEULAは問題とされている。
「有用な無償ソフトウェアには代償がつきもの」ですか?
ならばそれに伴う説明を、十分にするべきですよ。
あと、代償(スパイウェアやアドウェアの導入)が求められるのであれば、「無料ソフトウェア」であったとしても「無償ソフトウェア」ではない。
(freeを無料と訳すべきか、無償と解釈するかの論点は残りますが)
業者さんを正当化するためにもう一つ考えられる横槍としては、「個人を具体的に特定できないからスパイウェアではない」との詭弁だろうか。
これについてはSemplice中にて何度もネタにしたので、この場では掲載しないでおく。
スパイウェア配布者の路線転換と、表ビジネスへの進出
自分の目には、一部のスパイウェア配布業者や必要以上に個人情報を収集していると非難されている広告業者などは、どうもよくわからない存在なのだ。
とりあえずは「近づきたくない存在」であるのは間違いはないのだが。
忘れかけていたのだが、タイトルに記載したClaria社である。
いかがわしい企業らは裏ビジネス扱いされるような消費者より忌まれる企業活動より抜け出し、合法的なビジネスにシフトするのではないかと。
わかりやすく書くと、暴力団の企業舎弟が運営する怪しい会社が、「普通の企業」を装って活動しようと試みるようなものだろうか。
(合法的と言っても、法律の網をくぐるとか、法律スレスレとか色々ありますが)
(付記すると日本国内の法律は、マーケティング目的の情報収集のためにクライアントのパソコンに「情報収集ソフトウェア」を導入させるのを制限していないような気がする)
Claria社はGAINネットワークにより収集した消費者のネット上での挙動を、マーケティング情報としてどこかの企業に販売し、相応の利益を得ていたのだろう。
GAINネットワークの次は、何なんだろうか?どうも海外サイトを漁っても十分な内容の情報が集まらず、よくわからないのだが。
先日大変興味深い、と言うより大変不気味な出来事があったので、別コンテンツとして掲載したのだが。折角なのでこの場で紹介する。
JWordとNETPIA(ネッピア)に興味を持つClaria(旧称Gator)(2006年11月2日)(Lucablog)
Claria社は何故に、ネッピアとJWordの日本ではかなり評判が悪い2つのサービス関連のリサーチを行っているのだろうか?
。。。。。。何か不気味な蠢動を感じたのだ。
(もちろん企業活動の上でのリサーチではなく、従業員が暇つぶし目的でGoogle検索を行った可能性もあるのだが)
断りとして
タイトルに「合法的ビジネス」と記載したが、現時点でのClaria社の活動が非合法かつ違法行為ばかりであるとの意味ではない。
この記事へのコメント
Claria社についてはSoftbankと新会社を設立のニュースが出ていました。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0604/03/news048.html
実際、この少し前にClaria社は日本向けのマーケティングのマネジャーと日本語のソフトの開発者を募集していました。
基本的にはアドウェアはやめて、それによって得たパーソナライズのノウハウをベースにビジネスを行うということのようですね。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0604/03/news048.html
実際、この少し前にClaria社は日本向けのマーケティングのマネジャーと日本語のソフトの開発者を募集していました。
基本的にはアドウェアはやめて、それによって得たパーソナライズのノウハウをベースにビジネスを行うということのようですね。
Posted by nowandzen
at 2006年11月07日 19:00
PersonalWebなるサービスを同時期に立ち上げておりますので。
nowandzenさんがおっしゃる通り、「アドウェアをやめる」と言うよりは、合法的なビジネスとしてノウハウを活用する方向へシフトしているようです。
そう言えばMicrosoftがClariaを買収しようと試みた際には多くのブロガーが反発したのに、ソフトバンクやYahoo!との提携はほとんど話題に取り上げられませんね。
nowandzenさんがおっしゃる通り、「アドウェアをやめる」と言うよりは、合法的なビジネスとしてノウハウを活用する方向へシフトしているようです。
そう言えばMicrosoftがClariaを買収しようと試みた際には多くのブロガーが反発したのに、ソフトバンクやYahoo!との提携はほとんど話題に取り上げられませんね。
Posted by Luca
at 2006年11月07日 23:04