2006年10月17日 - 個人情報をトラッキングする糸と、mixi個人情報流出騒ぎへの感慨

Cookieによる追跡行為はそれほどの脅威ではない、のだろうか


 エンドユーザーがある日ふと思いつきクッキーを全て削除してしまえば、ユーザートラッキングの糸は途絶えてしまうだろう。
 具体的な個人の特定にまで結びつけられなければ、長期のモニタリングが必要なリサーチは行えない。

 子供向けクリスマス商戦のリサーチには、春先に何度も幼稚園入学関連情報サイトを見たとか、夏に公開された子供向け映画に関心を持っていたなどの、やや長いスパンの情報も役立つのだろう。
 サードパーティ クッキーを利用して、購買傾向や趣味やブラウジングの結びつきなどのマーケティング上有用な資料作成を「十分に」達成するには、やはり具体的に個人特定した方が容易なのではなかろうか。

 整理しなおして考えてみる。
 1)マーケティング向けリサーチを行う業者の大部分は、年齢・性別・職業・業種・趣味・大まかな都道府県レベルの居住地、それとネット上の行動があればよい。個人を特定できる情報のうちコアな部分(氏名など)は必要無い・むしろどうでもいいのでは?
 (年齢・性別・職業・業種・趣味と都道府県であっても、プライバシーの侵害として拒絶する消費者も居るだろうけど、主観が業者・消費者により異なるのは無視してはならない観点だ)
 2)サードパーティ クッキー「のみ」より得られる情報は、サイト運営者よりの情報提供が無ければ単なるブラウジング履歴に留まる低質なものに過ぎず、せいぜいバナー広告の切り替え程度にしか役立たないのではないか?
 3)ホームユーザーのパソコンは、誰が使うのかわからない。子供のブラウジング履歴は、クレジットカードを使える親の購買行動やネット上の行動とは一致しない。

 (付記すると、長期に渡ってトラッキングが可能なIDを強制的に割り当てる仕組みの一つが、ある種のソフトウェアを導入させる手法、つまりスパイウェアだ)

 では「長期に渡ってのトラッキング行為が可能」「購買に結びつくユーザーの嗜好を詳細に知る」などの問題をクリアするには、どうしたらば?
 登録者の特定がある程度の確度で可能な場、もしくは年齢・性別・職業・業種・趣味などのマーケティング情報を容易に得られる場 - 例えばソーシャルネットワーキングサービス(SNS)や、Yahoo!やLycosなどのポータルサイトではどうだろうか。
 多くの個人情報やマーケティングにつながる情報を保有しているサイトは登録者に対し、主体的に「何か」を行える。一例としてログオン後に表示させる広告、迷惑な「何とかご案内メール」、などなど。

 マーケティング業者は大手サイトと連携してしまった方が、ある意味で利口だし、ハズレは無いだろう。
 大手サイトよりは「個人を特定できない形での情報」を提供してもらい、自社が大手サイト経由で配布するサードパーティクッキーの裏づけとする。
 (断りとして:「個人を特定できない形での情報」が消費者の大手サイト登録IDを含む場合は、「本当に個人が特定できないのか否か」の点は判別つきづらいし、(氏名までの具体的な)個人特定に至らなかったとしても十分消費者の嫌悪感を招く可能性がある。

 バナー広告を閲覧する度に入れ替える程度の目的に留まるのであれば、さほど非難するべきではないような気がする、と言ってもね。
 消費者の不安は、「単なるバナー広告の選定などに限定されるのか」「説明が無い・ユーザーの許諾の裏をかく何かがあるのでは」「私の名前を含んだデータがどこかでやりとりされるのぉ?」と、際限がない。そして自分も似たような不安感を日頃より感じる。

ユーザーの選択肢


 1)充分な説明の有無・十分な説明を行った上でのユーザーよりの許諾の有無
 2)裏でやりとりされる情報は、どこまで含まれるのか
 3)あるサイトなり業者が本当に信頼できるのか
 これらは全く別の問題である。どれかを満たしたらばそれでいいだろうと思いこまれても、困るのだ。

 業者側の勘違い(もしくは甘え・言い訳作り)について、更に一点。
 「自分らの行動をトラッキングして下さい」との内容で、ユーザー登録時などにオプトイン(opt-in)にて許諾を得るべきではないだろうか。
 やってみなさいな。ほぼ全てのエンドユーザーは、拒絶するだろう。

 登録者がオプトアウト(opt-out)、つまりは「私の行動をトラッキングしないでください」と余計な手順・手続きをしなければならないのは、「優しさが足りない」。
 手続きの存在・または問題そのものの存在を知らないユーザーが生じ、結果として「許諾を得ないトラッキング行為」となる事例が多数生じるのは明らかだ。

 不可思議な事例としてmixi。行動ターゲティングサービスとmixi(Semplice)にて掲載した行動ターゲティングサービス導入のアナウンスは、タイミングを誤ったような気がする(後述)。
 「トラッキング行為の事実を明らかにしないよりは良いだろう」または「オプトアウトにより拒否できるならば良いだろう」との論点ならば、エンドユーザーよりどこまで賛意を得られるのだろうか。

mixiでの個人情報流出騒ぎにおける不思議


 暫く前よりmixi関連が騒がしく、これまでmixi側では全く無頓着だったユーザー自身による個人情報の公開について、注意喚起を行っている。

 「mixiに掲載した情報はインターネット上で多くの人に公開されていることになります。その点に十分留意してご利用ください」。ミクシィは11日、同社が運営するソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「mixi」を利用する際の注意事項をQ&A形式でまとめて公開した。
 Q&Aでは、「名前の欄には本名を載せてよいでしょうか?」「どのようなニックネームがよいでしょうか?」「プロフィールを書くときの注意点は何ですか?」などの質問を掲載。本名による登録については、知り合いに発見されやすくなり交流が広がるとしながらも、「全く知らない人にも本名がわかってしまう可能性があります」と注意を促した。
  「本名を登録してよいでしょうか?」mixiが注意事項をQ&A形式で紹介(INTERNET Watch)


 mixiを利用した悪質なネットストーカー行為は幾例も報告されているし。
 所属機関や団体、卒業した学校のコミュに参加するのはどうなのよとの議論もあった。
 何故に今頃、と首をかしげていたのだよ

 mixi側が個人情報の掲載について注意喚起した理由は、これなのね。

 最近の全裸開脚画像流出事件(ファイル共有ソフトが感染したビールスにより彼女の全裸開脚画像がネットに流出)等もありmixiでの個人情報の扱いが話題になっている。
 個人情報の詳細がmixiの情報から暴露された事と、初期においてmixi内で暴露が行われた事によりmixiの安全性に対するイメージが大きく変化しているようだ。
 mixiの個人情報が抜かれる(別人28号のいやがらせブログ)

 「超mixi足あとちょう」は、ぼくはまちちゃん!関連なんですね。「Cookieをこまめに削除」は自分も日頃より口にはしたものの、ここまで思い知らされる事例は初めてでした。

 株式公開後の株価高騰、プライバシーポリシーの突然の改訂とトラッキング行為、個人情報登録についてと、かなり騒がしい状況。
 今後の推移をじっくりと眺めたいものだ。


この記事へのコメント
企業側にとって気に入らない人間を特定して晒す事も
可能だと考えられます。
事実、トラッキングクッキーを使ったと思われる行為で
裁判沙汰になりかけたIT企業がありましたので
Posted by さじ at 2006年10月18日 22:31
某所と情報調査会社による投稿者特定・その後のアレコレ話なども有名ですね。
(裏が自分には取れそうにないので、具体的な話は割愛させていただきますが)

よく「何をすれば安全」「何をすれば危険ではない」などと言うものの、我々の想像を超えた次元の悪意に対してどのように備えるべきかは、大変難しいものがあります。
Posted by Luca at 2006年10月21日 20:49
あれ?
Mixiの罪はある

実名で登録しないと、
語りと見られて削除されることがあると
実名登録を煽りすぎてた。

情報弱者が被害に合うのは想定できたはず。
訴えきれなくても、信用はない企業だよ。

今は記述が変わったみたいですが。
Posted by いるか at 2006年11月17日 02:34
>実名で登録しないと、
>語りと見られて削除されることがあると

そのような経緯があるとは、知りませんでした。
気になって調べたらば、自分は本名で登録はしてませんね。
Posted by Luca at 2006年11月17日 07:28