2005年02月02日 - マルウェアによる第三者への風評被害

Mirsaウイルスとpolitical message


 やや風変わりなマルウェアを紹介する記事があった。

 これらのワームは、離婚時の父親の親権強化を訴える市民団体Fathers 4 Justiceを支持するメッセージを広めようとする。
 「このウイルスを作った人物は明らかにFathers 4 Justiceの運動を支持しているが、支持を表明するためにバットマンの衣装を着てバッキンガム宮殿に上る代わりに、コンピュータ犯罪を犯した。しかし、このウイルスに攻撃されたユーザーは決して共感してくれないだろう」とSophosの上級技術コンサルタント、グラハム・クルーリー氏はリリースで述べている。
父親を応援する(?)Mirsaウイルス(ITmedia)


 Itmediaの記事が引用してるのは、Email worms spread message of support for Fathers 4 Justice campaign, Sophos reports(Sophos)なのだが。
 「Other viruses which have spread a political message」の項目などを眺め、これらが本当にその主張を支持している人物が配布したのかと想像をめぐらすのもいいだろう。
 Sophosの日本語ウイルスニュースには掲載されていないようだが。


どのような主張であっても、そのやり方によっては、逆に支持を失う


 以前よりこのような手法を実行したらばどのような影響があるのかと、知人と話をしていたんだけど。
 もし不特定多数のユーザーのパソコンがマルウェアに感染したとする。そしてそれが政治的・社会的・また何らかの世論に訴えるようなメッセージを流したらば、どのような効果があるんだろうか。
 実際のやり口としては、配布者の主張をポップアップメッセージで表示するとか、どこかの政治色が強いサイトへブラウザを強制的にリダイレクトするとか、色々方法はありそうな。

 実際に得られる反応は、恐らくはネガティブな反感を得るだけであり、その主張が受け入れられるケースは無いだろう。
 被害に遭ったユーザーが、加害者の宣伝行為を「はい、そうですか」と素直に聞くはずがない。

 身近な生活の中の話に置き換えてみよう。
 街頭でのビラ配りは、そのビラを受け取るか否かとの点で、受け手には十分な選択肢がある。
 いきなりチャイムも鳴らさず家庭訪問されて政治的主張をされれば、自分の生活空間を侵害された気がして、その主張が社会的に「正しい」のか否かは別として、聞き手に警戒感を感じさせるだろう。
 飲み屋のカウンターで隣に座った客が、からみ酒で怒鳴りつつ「正しい主張」をしたとしても、君らは心情的にそれを受け入れる素地は無い。ただその酔っ払いから離れたいとしか望まないだろう。
 何らかの主張をするにしても、それを相手が受け入れる体勢になければ、それが正しかろうと間違っていようと、聞き手からは警戒され、時には逆にその主張の拠り所に対して反感を感じるだけなのだ。

このマルウェアを作成したのは、本当にFathers 4 Justiceの支持者か?


 納得がいかないと言うか、釈然としないのだよ。
 このような手法による主張をするに当たって、それに対して対立するような立場の人物が、面白半分にやったような可能性を否定できないのではなかろうか。
 ネット上では意図的に相手を貶める目的で、その支持者を装って、マナーに反する投稿を繰り返すような手口も頻繁に使われるようだし。これによってその主張の中身はどうでもよくなり、あるサイドそのものの社会的評価を貶められるのだから。
 つまりあるマルウェアを配布し、いずこかのサイトや団体を感染者に対して強制的にアピールすれば、マルウェア製作者とは全く関わりの無い第三者の評価を貶められる可能性がある。

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このブログは、Lucablog 2005-02-02 マルウェアによって第三者が風評被害を受ける可能性(http://d.hatena.ne.jp/LucaLuca/20050202)を修正・加筆し移転したものです。